土地の維持費にはどんな項目がある?
遺産相続など思わぬ形で更地を取得した場合、そのまま放置してしまっている方も多いのではないでしょうか。また、建物を建てるよりも更地にしておいた方が、コスト面で安く済むと考えているかと思います。
しかし実際は、土地の所有によって都市計画税や固定資産税、その他維持費がかかることもあるため気を付けなければいけません。そこで今回は、土地の維持を項目別に紹介していきます。
土地の維持費にはどんな項目がある?
土地の維持を項目別に紹介します。土地の所有によってかかる維持費は、都市計画税や固定資産税をはじめ、電気・水道料金や委託管理費など複数存在します。そのため、土地の運用方法について慎重に考える必要があります。
電気・水道料金といった公共料金
相続もしくは何らかの形で所有した土地が更地の場合、電気代や水道料金も発生するかもしれません。
たとえば土地の維持管理で、雑草を刈るために電動草刈り機を使用したり害獣対策として電気柵を稼働させていたりしていると電気代もかかります。
また、土質によっては、乾いて舞いやすい可能性もあるため、定期的に水を撒くこともあるでしょう。その場合水道代もかかります。自宅近くの土地であれば、一般的に自宅のコンセントや水道を使用するため、現在支払っている電気代・水道料金に従量料金が上乗せされます。
自宅から離れた土地で別途電気・水道を契約している場合は、従量料金だけでなく基本料金も別途かかるため要注意です。公共料金の負担を抑えたい時は、バッテリー式の草刈り機を使用したりタンクに貯めた水を撒いたりといった、消費量を減らすよう心がけるのもおすすめです。
固定資産税
固定資産税は土地や建物かかる税金で、更地の状態でも毎年税負担が発生します。そのため、特に土地活用していない場合でも、所有者は毎年固定資産税を申告しなければいけません。
固定資産税の納税通知書は、毎年1月1日時点で土地・建物を所有している方へ同年の4月~6月に送付されます。そして、税率は1.4%から定められているのが特徴です。
具体的な計算方法は、以下の通りです。
【固定資産税の計算方法】
- 課税標準額×標準税率1.4%=固定資産税
- 課税標準額は土地の公的価格などを基に行政機関が定めています
土地が更地の場合は、各市町村の固定資産課税台帳に掲載されている固定資産税評価額と呼ばれる金額から、負担調整を施して最終的な課税標準額をを定めています。なお、実際は納税通知書に最終的な納税額を記載してもらえるので、特に計算せずとも納税できます。
注目すべきポイントは、更地よりも建物を建てている方が固定資産税を抑えられる点です。そのため、土地を今後も所有し続ける方は、固定資産税の負担を抑えるために土地活用を検討してみてはいかがでしょうか。
都市計画税
都市計画税は、固定資産税と共に土地・建物の所有によってかかる税金です。具体的には、土地区画整理事業など、都市開発のために必要な財源で、土地所有者から都市計画税として徴収しています。
税金の策定方法は、毎年1月1日時点で土地を所有している方に対し、同年の4月~6月頃に納税通知書を送付します。そして納税通知書は、固定資産税と都市計画税をまとめて記載しています。都市計画税の計算方法は、以下の通りです。
- 課税標準額×標準税率0.3%=都市計画税
- 課税標準額は土地の公的価格などを基に行政機関が定めています
なお、都市計画税は、固定資産税と同じく建物を建てることによって税負担を軽減できるのが特徴です。
委託管理サービスへ支払う管理費
土地を更地の状態で所有している方は、草刈りや防災の一環としての土壌管理、不法投棄されていないか目視での確認など、定期的な維持管理を行っているかと思います。中には、自宅から更地が離れていたり、仕事で忙しかったりといった理由から、管理業者へ清掃を含めた管理を委託しているのではないでしょうか。
委託管理サービスを利用している場合は、管理費用も定額もしくは依頼時に支払う必要があります。そして、こちらの委託管理費用も、土地の維持費として考えます。
委託管理に関しては、削減すべきケースと維持すべきケースもあるため、一概に減らすべき項目とはいえません。
一方委託管理を検討している方は、自身や家族のライフスタイルと維持管理に必要な作業項目、どれだけ維持管理の負担を減らせるか作業量や費用など総合的に考えてみましょう。
状況によっては保険料がかかるケースもある
土地の所有のみで保険がかかる訳ではありません。しかし、空き家と土地をセットで相続・取得している場合、空き家にかかる保険で別途支払い負担が生じる可能性もあります。
空き家の主なリスクは、放火や故意の破壊、台風や地震による倒壊といった点です。特に放火などによる被害の場合、延焼による第三者への賠償責任などもあるため、大きな負担だといえるでしょう。そこで火災保険に加入しておけば、万が一のリスクや損害に対応できるようになります。
空き家を所有している時は、火災保険の加入も必要といえるでしょう。
不法投棄の処理費用
更地は、不法投棄を行う人たちにとって実行しやすい場所の1つです。なぜなら住居のある場所と違い、一目につきにくく、通行人の少ない夜中であれば、不法投棄にうってつけといえるためです。
土地を維持管理している方にとっては、大変不快であり生ごみなどの異臭だったり害虫・害獣の住み着く場所になったりと、さまざまな被害につながります。
さらに異臭や害獣などの発生によって、近隣の方達から苦情を受けるリスクもあります。状況が悪化すれば、訴えられるなどの近隣トラブルにまで発展する可能性もあり大きな問題です。
本来は不法投棄を行うこと自体違法です。しかし、不法投棄された場合、土地の所有者が処分しなければ状況は悪くなる一方…。不法投棄の処分には、処理費用がかかるため維持費の1つとして捉えられるわけです。
土地の維持費を抑える方法
土地の維持費を抑える主な方法について紹介していきます。
建物を建てる予定があれば早期に建てる
更地に住居もしくは貸し出すために建物を建てる予定がある方は、なるべく早期に始めましょう。固定資産税と都市計画税は、建物を建てることで軽減措置を受けられるためです。
たとえば、土地200m2未満の「小規模住宅用地」に建物を建てた場合や、200m2を超える土地「一般住宅用地」に建物を建てた場合でも通常の6分の1まで税額を軽減可能です。そして、前段の土地面積を超える時は、建物内の床面積の10倍まで3分の1に軽減されます。
他にも新築の建物の場合は、以下のような減額措置が適用される点に注目です。
- 戸建住宅:新築から3年間は固定資産税を通常の2分の1に軽減
- マンション:新築から5年間は固定資産税を通常の2分の1に軽減
建物の建設が難しい場合はコインパーキング等で代用
これから住居用住宅やアパートなどを建てる予定がない、もしくは予算の関係から建物を建てられない場合は中場経営なども検討してみるといいでしょう。
戸建住宅やアパートなどは、3,000万円といったまとまった資金が必要です。借り入れを行うとして自己資金30%や20%用意するとしても、大きな金額です。
対して駐車場経営は、運用方式によって整地や設備費用0円から始められます。たとえば月極駐車場は、更地でも経営可能です。
また、コインパーキングは初期費用100万円前後ですので、建物を建てる場合より低コストといえるでしょう。このように土地活用は、単にアパートやマンションなどを建てるだけではありません。
駐車場や駐輪場などといった活用方法にも目を向けてみましょう。
土地の維持費を抑えるためにも土地活用を検討
土地の維持費は、固定資産税や都市計画税に加えて草刈りや土壌の流出防止のための植生や養生、その他にも空き家の火災保険などさまざま。そして土地の維持費を抑えるには、土地活用を検討してみるのがおすすめです。
具体的には住居用住宅を建てたり貸し出すためにアパートを建てたりといった活用法です。他にも、月極駐車場やコインパーキングといった、比較的低コストで始められる土地活用も検討してみるもいいでしょう。
まずは、年間の維持費を計算した上で、土地活用するべきか考えてみてください。




